宇宙の最低温度と最高温度

🌌 宇宙の最低温度と最高温度
❄️ 最低温度:絶対零度
温度が下がりきる限界が 絶対零度(-273.15℃ / 0K) です。 この温度では、物質の分子運動が理論的に完全に停止すると考えられています。
☀️ 最高温度:プランク温度
理論上の最高温度は プランク温度(約1.41×1032K) と呼ばれます。 これ以上の温度では、現在の物理学(一般相対性理論や量子力学)では記述ができません。
📉 0K(-273.15℃) = 絶対零度(最低温度)
🔥 1.41×1032K = プランク温度(最高温度)
※ 絶対零度もプランク温度も、あくまで理論上の限界値です。実際の宇宙で完全に達することはできません。
絶対零度からプランク温度まで — 宇宙の最低・最高温度を図でわかりやすく
宇宙で考えられる「最低の温度」と「理論上の最高温度」を、図で直感的に理解できるページです。数値は代表値を採用しています(目安としてご覧ください)。
まずは基礎:絶対零度とプランク温度
絶対零度(0 K)は温度の下限で、ケルビン目盛でのゼロ点です。摂氏では -273.15℃ に相当し、熱運動の理想的な停止点として定義されます(実験的にはそこに限りなく近づけることは可能ですが完全には到達できません)。
一方、プランク温度(\(T_P\)) は現代物理が意味を持つ限界の温度を示す理論値です。量子力学と重力(一般相対性理論)が同時に重要になるスケールで、値はおよそ:
\(T_P \approx 1.4168\times10^{32}\ \mathrm{K}\)
重要:プランク温度は理論上の「限界」であり、観測で確かめられた値ではありません。プランク温度付近では現在の物理法則(量子論+一般相対論)の枠組みが壊れ、新しい理論(量子重力)が必要になると考えられます。
図解:温度の対数スケール(代表例をプロット)
図:温度を対数スケールで示しました。左端(0 K)は絶対零度ですが、対数表示では「0」は扱えないため注記しています。代表例として宇宙背景放射(CMB)、地球、太陽、超新星、初期宇宙、そして理論上の上限であるプランク温度を示しました。
ポイントを噛みくだいて説明
1) 絶対零度(下限)
絶対零度は理論的下限で、物質の熱運動(古典的には原子の運動)が完全に停止した状態を指す理想値です。実験では極低温(ナノケルビン級)まで冷やすことはできますが、完全な到達は不可能です(熱力学の第三法則の関係)。
2) プランク温度(理論的上限)
プランク温度は次の式で定義できます(物理定数を用いる):
\(T_P = \sqrt{\dfrac{\hbar c^5}{G k_B^2}}\)
ここで \(\hbar\)
は換算プランク定数、c
は光速、G
は万有引力定数、k_B
はボルツマン定数です。数値は約 1.42×10³² K
。
プランク温度近傍では、「空間・時間の量子的揺らぎ」が支配的になり、現在の物理法則(量子場理論+一般相対性理論)は適用できなくなります。したがって「これ以上の温度」を意味づけること自体が難しいのです。
3) 実用的な意味
- 日常や地球上のほとんどの現象は数十〜数千ケルビンの範囲にあります(地球表面・太陽など)。
- 実験室で作る超高温(核融合プラズマなど)は 10⁷〜10⁹ K 程度で、プランク温度とは桁違いに小さいです。
- 初期宇宙の非常に初期(ビッグバン直後の極短時間)には極めて高温だったと考えられますが、観測可能な証拠は間接的です。
まとめ
– 最低温度は理論的に 絶対零度(0 K = −273.15℃)。 – 最高温度は理論上の限界として プランク温度(≈1.42×10³² K) が考えられる。これは観測値ではなく「物理法則が破綻する目安」です。 – 実際の観測や実験で扱う温度は、この両極の間の非常に狭い領域に集中しています(我々の関心は主に 10⁻⁹ 〜 10¹¹ K 程度)。
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