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使っちゃいけない金”に手を出した男たち──菊池寛の名言と水原一平事件の皮肉な共鳴

“使っちゃいけない金”に手を出した男たち──菊池寛の名言と水原一平事件の皮肉な共鳴

「ギャンブルは、絶対使っちゃいけない金に手を付けてからが本当の勝負だ」
—— 菊池寛

この言葉を初めて聞いたとき、あなたはどう感じるだろうか。
「なかなか洒落が利いている」と笑う人もいれば、「それはもうギャンブルじゃなくて破滅の始まりでは」と冷や汗を流す人もいるかもしれない。

ところがこの名言、現代においてとんでもない“リアルな形”で実行してしまった人物がいた。そう、元メジャーリーガー・大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏である。


文豪・菊池寛という“ギャンブル好きな男”

まずは言葉の主、菊池寛(1888–1948)について簡単に触れておこう。

彼は『文藝春秋』を創刊した文壇の重鎮であり、文学賞「直木賞」「芥川賞」の設立にも関わった偉大な編集者であり小説家。その一方で、「ギャンブル好き」としても知られている。

彼が好んだのは、主に麻雀と競馬。同僚の作家や新聞記者たちと卓を囲んでは、「賭ける」という行為を通して、人間の本性やドラマを味わっていたのだろう。麻雀で負ければ本気で怒り、競馬で一発逆転を狙う様子は、もはや小説の登場人物そのものである。

そんな彼が遺した言葉──

「絶対使っちゃいけない金に手を付けてからが本当の勝負だ」

これはおそらく、理性の限界を超えた“人間の業”をユーモアで包んだ文学的毒舌であり、本当に実行せよという意味ではない。
──はず、だった。


現代の“本当の勝負”——水原一平という悲劇

そして、2024年。アメリカで“本当の勝負”に挑んでしまった男が現れる。

水原一平氏。大谷翔平選手の専属通訳として長年信頼を集め、日本人メジャーリーガーにとっての「影の支え」だった人物。
彼が犯した過ちは、違法スポーツ賭博へののめり込み。そして、莫大な借金。
返済のために手を付けたのは、よりによって――
大谷翔平の銀行口座だった。

「絶対に使っちゃいけない金」の中でも、史上最高レベルのNG資金。
ここに手を出した時点で、もはや勝負どころではない。勝ったとしても地獄、負けても地獄。まさに“詰み”である。


菊池寛 vs 水原一平:ギャンブル比較表

比較項目菊池寛水原一平
ギャンブル内容麻雀・競馬スポーツベッティング
賭け金自分の金(たぶん)他人の金(確実に)
結果文壇の逸話として残る実刑判決と社会的信用の崩壊
名言自ら語った名言に“体現されて”しまった

ユーモアの裏にあるリアルな危機

もちろん、ここで笑い飛ばして終わりにするわけにはいかない。

菊池寛の名言は、ギャンブルのスリルと人間の危うさを文学的に捉えた皮肉である。
けれど、水原氏のように「使っちゃいけない金」に手を出せば、それはもはや文学ではなく犯罪だ。
スリルどころか、自分だけでなく周囲の人生までも壊しかねない。


おわりに:名言の“効力”とは?

文豪の言葉というのは、時に鋭く、時にユーモラスに、そしてときに未来の誰かの悲劇を予見するように響く。

今回の件が、菊池寛の名言をあまりに皮肉な形で“再証明”してしまったことは、笑うに笑えない現実である。
だが逆に言えば、こうした名言をただの冗談として受け流さず、「どこまでがジョークで、どこからが破滅なのか」を考えるきっかけにすることも、現代における“読み方”なのかもしれない。

ギャンブルに、踏み越えてはいけない一線がある。
それを踏み越えた時、勝負の勝ち負けはもはや意味を失う。

「本当の勝負」は、しないに越したことはないのだ。

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